年金積立金管理運用独立行政法人 GPIF †年金積立金管理運用独立行政法人(英語: Government Pension Investment Fund, GPIF)は、厚生労働省所管の独立行政法人である。日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っている(共済年金は対象外)。運用は契約型の投資信託によっている。 従来、公的年金の積立金運用は、特殊法人である年金福祉事業団が財政投融資に預託して行っていた。しかし、第2次橋本内閣が進めた特殊法人改革によって2001年(平成13年)3月に同事業団は廃止され、日本国政府は年金資金の自主運用を求められることになった。そこで、2001年(平成13年)3月の同事業団廃止の直後、同年4月1日に年金資金運用基金へ改組された。2006年(平成18年)4月1日には、年金積立金管理運用独立行政法人が設立されて、同日付で廃止された同基金から年金積立金の管理・運用業務を引き継いだ。
運用資産 †平成28年度第2四半期末現在の運用資産は132兆751億円である。運用資産はアメリカ合衆国の社会保障年金信託基金に次ぐ世界第2位を誇る。2011年末時点では年金基金の中で、2位のノルウェー政府年金基金(5,755億2700万米ドル)に2倍以上の差をつけて資産額は世界最大である(1兆3,948億7300万米ドル)。このことから、世界最大の機関投資家と呼ばれる。 資産構成割合[編集] †(投資信託による)分散投資でリスクを抑えながら期待収益率を上げるとしている。 現行の基本ポートフォリオは、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%である。平成27年12月末の時点では、以下のように、基本ポートフォリオ(長期的な観点からの資産構成割合)を策定している。 第一生命経済研究所の主席エコノミストである永濱利廣は、「株安に伴って日本株の占める比率が所定の数値を下回ると、その調整のために買いを入れることになる。下がれば下がるほど買うロジックなので、結果的にGPIFは市場の安定化装置的な役割を果たしている」と述べている。 日本株の運用 †市場規模509兆円のうち、6%弱の日本株を保有している。三井住友、みずほ、三菱UFJの3大メガバンクやホンダなど、少なくとも日本企業の121社の筆頭株主であり、トヨタ自動車の発行済み株式数の5.5%を保有する第二位の大株主である。TOPIX 500のうち、約99%の495社で10位以内の大株主である。 また、日本の中央銀行である日本銀行は、2016年末までに日経平均株価225社のうち、55社で筆頭株主となっており、日本の株式市場における公的機関の存在感が増している。 投資信託 †多くは、株価指数に連動するように運用する「インデックスファンド運用」であるが、一部はアクティブファンド運用も行っている。 事務職員は運用の専門知識を持たないため、実際の運用は金融機関に委託(投資信託)している。具体的な委託先は公表されており、2014年4月現在の委託先は、国内株式投資について、野村グループとゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、スマートベータ型の他、伝統的アクティブ運用では、インベスコ・アセット、キャピタル・インターナショナル、ナティクシス・アセットマネジメント、日興アセットマネジメント、フィディリティ、みずほ投信投資顧問、ラッセル・インベストメント、JPモルガン、DIAMアセットマネジメント、他2社に委任している。また、国内パッシブ運用のTOPIX担当では、先のみずほとDIAMの他、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、ブラックロックが運用している。 資金の一部は米国企業に運営が委託されている。だが、外国株式投資の運用委託先は十分な説明がない。外国債券投資運用の委託先は、2014年5月20日を提出期限にして募集されていた。 ベンチマークをパッシブで1つ、アクティブで2つに分け、そのうち2つはヘッジなしかつベンチマーク応相談。また、複数のベンチマークが兼任可能だった。 運用実績 †年金積立金の自主運用を始めたのは、前身の年金資金運用基金が設立された2001年度(平成13年度)からである。運用結果は四半期ごとに公表される。市場運用開始以降(平成13年度~平成27年度第3四半期)の収益率(年率)は2.99%、累積収益額は50兆2229億円だった。また、平成13年度~平成26年度までの累積収益額は50兆7,338億円にのぼる。収益率の分母となる運用資産額は、2014年度(平成26年度)末で137兆4,769億円であった。 市場運用開始以降の運用実績(平成13年度~平成27年度第3四半期)
通年
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