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政党

政党(せいとう)とは、一定の政治的理念を持った集団による政治的団体である。

概要

政党の定義としては特定政治的理念を有する集団による結社であるとされる。近代国家における議会政治の成立とともに発展してきた。

当初は議会での立場による緩やかなグループとしての性質が強い物であったが、次第に議員を中心として組織化してゆき、一般党員など議会外での活動や、団体としての運営など政治団体的な側面を有するようになる。

近代的な「政党」としての形式が成立するようになって以降は、政党の法人化や政党に関する法制度の整備および国家による政党の制度化、議会における「会派」との関連、社会主義国における党の指導性、党による軍の保持など、政党の性質は多岐に渡る。

先述の通り、「政党」の実質的な原義としては、政治的団体であるとされるが、国家による政党の制度化以降、特定の法的要件を満たした政党のみを"法律上の「政党」"と称する例が存在する。この場合、法制度の限りにおいては要件を満たした政党のみを「政党」と称するが、これは要件外の政党を「政党」の定義及び名称から外すもの、妨げるものではない。よって議席を有しない政党も存在し、また、非合法の政党も存在する。明治初期の政党やロシア革命下の政党、独裁国家における反体制政党などがこれに当たる。

また、政党は単なる政治団体の一種としての性質も有する為、その定義の境界線は曖昧であり、単なる派閥との差異も歴史的にさかのぼると曖昧となる。

また、によっても政党の性質は異なる。西欧諸国やオセアニア、アジア民主主義国のように共通の政策理念を有する組織として民主的議会の運営単位となる例もあれば、アメリカ合衆国のように党員間にも政策的差異が存在し、緩やかなグループ的な性質を有する場合もある。ソビエト連邦中華人民共和国などにおいては、「党の指導性」が掲げられ、一つの政党が議会に於いて絶対的な指導性を有しており、国政を掌握する形となっている。

政党制

非競合的政党制-【独裁

一党独裁

  • 一つの政党が独裁政党として存在し、それ以外の政党は反体制的であるとして非合法政党とされる。独裁政党からの政権交代は認められておらず、その体制の転覆をはかる非合法政党は公には認められず、弾圧が行われる。独裁政党に賛同する政党の存在が認められる場合があり、これは「衛星政党」と呼ばれるが、衛星政党が存在する体制は「ヘゲモニー政党制」に分類されるとも言われる。

ヘゲモニー政党制

  • 一つの政党が独裁政党として存在するが、それ以外の政党も存在が合法であり公に認められている政党制を指す。この体制は状態により差異があり、独裁政党以外には独裁政党に賛同する「衛星政党」のみ認められている場合と、独裁政党に反対する政党もある程度認められている場合がある。前者は「一党独裁制」にも分類されうる。後者は実質的には政権交代が許されないが形式的に競合させることにより、独裁政権が「民主主義である」と主張する為に行われる。

競合的政党制(複数政党制)-【民主主義

一党優位政党制

民主主義体制で民主的公正選挙が行われており、複数政党間での競合が行われている体制下において、民主的選挙の結果として一つの政党が優勢であるという状態が恒常である政党制を指す。民主主義であることにより、政権与党も野党も機会は均等であり、いつでも優位性が崩れ与野党逆転による政権交代が起こりうる。

そのため与野党は競合し、与党は下野をしないように自己に抑制的で緊張感を持った政権運営をするが、政権は継続性があり安定しているという利点がある。一方で、野党の求心力の低下や、民主的な制度において一党に政治責任が集中する為、与党が民衆に迎合的かつ包括的になり過ぎるなどの欠点がある。実例としても与党は国民多数の支持の為に、矛盾する主張を有する議員を抱え、党内での対立など政策?が不安定となった例がある。また、複数の業界団体が支持母体となる為、これも党内対立の原因となる。さらに稀に与党が下野した際に、旧与党の求心力が著しく低下する事がある。また野党も次第に政権獲得を自ら放棄し、非現実的政策を掲げて国民の支持を失う例がある。旧与党の下野が起きた場合に与党となった旧野党が政権の運営に現実的対応が出来ず、失政を招く点が最大の問題でもある。

  • 実例
    • 日本(1955年-1993年、いわゆる「55年体制」)
    • スウェーデン(1970年代まで)
    • イタリア(1990年代まで)
    • インド

二大政党制

二つの政党が巨大政党として数年間隔で政権交代を繰り返す政党制である。国内において国民間に大きな対立軸が存在する場合に発生しやすい。二大政党以外の政党は「第三党」と呼ばれ、政局に影響を与えることは少ないが、稀に連立政権として関与することがある他、既存政党への不満が拡大した際には注目される。

一般的に二大政党間の対立軸としては保守対革新であるが、その右傾化・左傾化度合にはにより差がある。イギリスにおいては保守側に右派的な保守党が存在する一方、革新側としては自由主義的な自由党が存在した。これが20世紀以降、より左派的な労働党に変化している。一方でアメリカでは左派的な政策は社会主義的であるとして受け入れられない為、保守の共和党に対して、民主党は積極的に革新であるとは主張しない。

この体制は単純化された構図により国民の政権選択が容易であるという利点がある。一方で、二党で国民の支持を集めようとするため、イデオロギーの接近が見られ、政策的差異がないがしろにされる面がある。また、二大政党の主張と相いれない国民の意向を反映しずらいという欠点がある。

多党制

有力な政党が多数存在し、極端に支持を集める政党が存在しない政党制である。この政党制の場合、各政党間での連立政権が発足する場合が多い。政権交代もそれぞれの政党の圧倒的多数により行われるものではなく、連立の組みかたによる差で行われる。ある程度、比較的多くの支持を集める政党が存在する為、その政党が中心となり連立を組む場合が多い。

  • 実例
    • ドイツ(西ドイツ時代を含む)
    • オランダ
    • ルクセンブルク

原子化政党制

有力な政党が存在しない政党制である。

各国の政党

日本

日本の政党は党内にある程度の差異が生じて派閥を形成することがあり、完全な中央集権ではないが、アメリカの政党のようにグループ化することもなく、ある程度組織化されている。構図については時代により大きく異なる。

制度面としては戦前はあまり他国と差異が無く、任意団体としての積極的法制度整備もなかった他、戦前は非合法政党も存在した。戦後においては「結社の自由」が認められたため、非合法政党は存在しなくなり、国民は自由に政党を結党することが可能となった。政党のみに関する法制度「政党要件」として一定の要件を満たした政党に法人格を与えることとしており、その要件を満たした政党を"法律上の「政党」"と称するが、先述の通り、満たさない政党を一般的な「政党」の定義から除くものではない。要件を満たさない政党は法律上「政治団体」と呼ばれ(厳密にいうと政党も政治団体であり、政治団体のうち政党でないものという扱いになる)、要件を満たすか否かで法律上の各種制度に差が生じる。選挙報道で「諸派」とまとめられているのがこの政治団体である。要件を満たさない政党が地方議会においては有力な政党である場合もあり、稀に国会で議席を有することがある。地方や国会などの議会に於ける「会派」は政党とは異なるものであり、拘束されるものではないが、おおむね政党を基準に結成されることが多い。

明治維新による近代化によって日本においても政党が成立し、帝国議会の開設により議会で政党が活動することとなった。当初は議会にける多数党に関係なく、無所属の首相による超然内閣が政権を運営し、政党はいずれも議会で限定的な影響力を有する存在であった。

後に、政党内閣が明治後期に成立するようになる。大正時代には大正デモクラシーにより政党を主導とした政党政治が行われ、「憲政の常道」として多数党による政権の運営が実現する。二大政党制による政権交代も行われるようになるが、昭和初期には軍部が台頭し政党の影響力は失われてゆく。第二次世界大戦に際して議席を有するすべての国政政党が解散し大政翼賛会に合流した為、日本の政党政治は戦前と戦後で断絶する。

戦後まもなくは複数の政党が多数発足するが、次第に二大政党と少数政党に集約されてゆく。二大政党として自由民主党日本社会党が大きな勢力を有することになるが、一党優位政党制である為、自由民主党がおおむね過半数を有する状態が続くこととなった。ただし与党である自由民主党の政権運営に不満が高まった際には過半数割れを起こすなど必ずしも安定した支持を維持できないことから、首相の辞任が行われ、派閥による疑似的政権交代が行われていた。1993年に自由民主党が下野して以降は一党優位政党制が崩壊し、多党制と二大政党制の中間のような状態が続いている。

政党要件

以下のいずれかを満たした団体を法律上政党として認めるという要件である。

  • 所属する国会議員が5人以上
  • 直近の国政選挙で2%以上の得票率を得る

なお、この国会議員には衆議院解散後から衆議院総選挙投票日までの間の前議員も含む。直近の国政選挙は読んで字のごとくだが、参議院通常選挙に関しては法律によって異なり、公職選挙法では前回の通常選挙のみ、政党助成法、政治資金規正法、政党法人人格付与法では前々回の通常選挙も含めるとされている。また、政党助成法では国会議員が1人以上所属していることも要件となる。

具体的な条文を以下に示す。


二  直近において行われた衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は参議院議員の通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政党その他の政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であること。

公職選挙法 第八十六条第一項より

二  前号の規定に該当する政治団体に所属していない衆議院議員又は参議院議員を有するもので、直近において行われた衆議院議員の総選挙(以下単に「総選挙」という。)における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙(以下単に「通常選挙」という。)若しくは当該通常選挙の直近において行われた通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であるもの

政党助成法 第二条第一項より

二  直近において行われた衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙若しくは当該参議院議員の通常選挙の直近において行われた参議院議員の通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であるもの

政治資金規正法 第三条第二項より

二  前号の規定に該当する政治団体に所属していない衆議院議員又は参議院議員を有するもので、直近において行われた衆議院議員の総選挙(以下単に「総選挙」という。)における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙(以下単に「通常選挙」という。)若しくは当該通常選挙の直近において行われた通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であるもの

政党法人人格付与法 第三条第一項より

公職選挙法以外の法律では、下線部で示した記述があるために前々回の通常選挙の結果も含まれている。また、政党助成法のみ、国会議員の所属が必須条件となっていることもわかる。

イギリス

イギリスの政党は原始的には議会の派閥から生じたものが、トーリー党とホイッグ党となり、以降、保守党と自由党として近代政党に発展したという歴史的経緯がある。政党制は二大政党制であり、保守党と自由党が二大政党を構成してきたが、20世紀以降は保守党と労働党が二大政党である。第三党も一定の議席を確保している。連立政権の発足はまれである。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国の政党は他国と比較して緩やかなグループであるという特徴がある。民主党と共和党による二大政党制であるが、両党とも政策的に重複する部分も多く、互いの党の政策に賛成する議員がいることは珍しくない。

関連項目

  • 政治
  • 党の一覧
  • 二大政党制

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Last-modified: 2018-05-17 (木) 17:47:20 (1728d)