天下りの隠れみのと化した「官民人材交流センター」の悪辣 †天下りこそ官僚のウマミ――。ことあるごとに問題視されながら、官僚の天下りはなくならない。2017年、文科省の吉田大輔が早大教授に天下りしていたことが発覚。その後、62件の国家公務員法違反が判明し、文科省は組織ぐるみで天下りシステムを築いていた実態が浮き彫りになっている。 そもそも官民癒着や高額報酬への批判から、2007年に改正国家公務員法が成立。各省庁の天下り先斡旋は廃止し、再就職は「官民人材交流センター」に一元化されたはず。違うのか。 政治評論家の有馬晴海が言う。 †「センターの設置は、いかにも官僚らしい巧妙な仕組みづくりです。例えば、文科省のキャリア官僚がセンターに登録して利害関係のない証券会社に再就職すれば、国家公務員法に抵触することはありません。でも、それで終わりではないのです。2、3年証券会社で働いたキャリア官僚は、その後、少なからず文教関係に再々就職します。センターは、天下りの格好の“隠れ蓑”なのです」 大臣官房が今も暗躍 †なぜ天下りが習慣化されたかというと、キャリア官僚の出世と密接な関係がある。国家公務員Ⅰ種で採用されたキャリア官僚は、横並びで課長まで昇進する。しかし、その先はポストが減るため、早期勧奨退職制度によって“肩たたき”にあい、最終的に事務次官以外の同期はみな辞めるのが慣例だ。 「それでは多くの官僚の身分が不安で、大臣官房秘書課が再就職先を紹介し、斡旋するようになりました。それが、天下りです。そこに批判が当たっても、早期退職の流れは変わらず残っていますから、センターができても組織ぐるみの天下りはまだまだ行われています」(有馬晴海) 文科省の天下り問題では、藤江陽子が他省庁職員の天下りに関与していたことが明らかに。長崎輝章が東京外大特任教授に、小田克起が新潟大副学長に就任したのも、藤江の関わりが判明している。 タテ割りだった天下りが、ヨコに連なっているのだから悪辣極まりない。 |