佐川宣寿喚問ことごとく証言拒否「刑事訴追の恐れ」30連発<下> †「安倍昭恵はなぜ関与していないと断言できるのか」 とにかく質問時間が短過ぎた。維新や立憲などの少数野党は攻め手を欠いたと言わざるを得なかった。 それでも辛うじて斬り込んでいたのは自由の森裕子や立憲民主の福山哲郎ぐらい。森は、佐川宣寿が安倍昭恵の関わりを明確に否定したことを追及。 国有地をめぐって田村嘉啓とやりとりしていた安倍昭恵付の谷査恵子に直接聞き取りをしていない佐川宣寿に、「安倍昭恵の関与がなかったとなぜ断言できるのか」と説明の“矛盾”を繰り返し質問。これに対し、佐川宣寿は「私は森友学園と財務局の貸し付け、売却の経緯で法令に基づいて確認している」などと真正面から答えなかった。森はまた、「今井と森友問題で話したことはないか」と迫り、佐川宣寿は「話したことはありません」と答えた。 立憲民主の福山は「法令に基づいて契約したのになぜ文書改ざんしたのか」と問い詰めたものの、佐川宣寿は「刑事訴追の恐れ」をタテに答弁を拒否。福山が「関わっていないなら明確に言えばいいじゃないか」と気色ばむ場面もあった。 証人喚問の主な一問一答 †●丸川珠代(自民) ――書き換えは誰の指示で行われたのか。安倍晋三からの指示は? 「ございませんでした」 ――安倍昭恵や官邸からも指示はなかった。間違いないか。 「間違いございません」 ――他の局の幹部と書き換えをはかったことは? 「理財局の中だけでやった話でございます」 ――書き換えは安倍晋三や安倍昭恵の名前を消すために行われたのか。 「刑事訴追の恐れがあるため答弁を差し控える」 ――一連の決裁文書の一言一句に目を通したのはいつか。 「国会対応については、丁寧さを欠いていたのは間違いない。決裁文書をいつ見たのかは、刑事訴追の恐れがあるので差し控える」 ――答弁を訂正・変更することもできたのに、なぜ決裁文書の書き換えにつながったのか。 「月曜から金曜まで毎日質問され、国会対応で連日連夜、朝まで休むことなく、まったく余裕がなかった」 ――森友学園との土地取引に安倍晋三や安倍昭恵から何らかの指示があったか。 「契約当時は理財局にいなかったが、経緯について勉強した中で、安倍晋三や安倍昭恵の影響があったとは考えていない」 「私が昨年、勉強して一連の書類を読んで、国会で答弁した中で言えば、安倍晋三も安倍昭恵の影響もない」 ●小川敏夫(民進) ――文書の改ざんは証人の答弁に合わせるために行われたという認識でいいのか。 「捜査を受ける身であり経緯については控える」 ――国会答弁には安倍晋三の答弁もある。官邸の担当者と打ち合わせるのではないか。 「基本は森友に関わるもので理財局で起案したものを大臣室や官邸に届ける。極めて実務的な案件だった」 ――理財局の室長に照会した谷査恵子が安倍昭恵の秘書だということは承知していたか。 「当時の室長は把握していたと思う」 ――財務省職員が谷、安倍昭恵に直接または間接的に連絡を取ったことはあるか。 「部下職員から聞いた範囲ではない」 ――室長と籠池泰典夫妻が財務省で面会した際の録音テープに「安倍昭恵の方からも聞いてもらったことがあると思う」という籠池泰典の発言があるが、具体的なことを何も確認していないのか。 「当時の室長から個別の具体的なやりとりは聞いていない」 ――2017年2月17日の「関与していたら辞める」という安倍晋三の答弁は、理財局に影響があったか。 「安倍晋三の答弁の前と後で私自身が答弁を変えたことはない」 ●横山信一(公明) ――政治家からの不当な働きかけはなかった? 「圧力はなかった」 ――資料の確認をしないで、「資料は廃棄」などと断言したから答弁と文書の整合性が取れなくなった。なぜ資料を確認しなかったのか。 「できたかもしれないが、局内が大変な状況だったので怠った」 ――財務相は「佐川宣寿の指示」と言うが、どう意識しているか。 「書き換えの経緯は捜査の対象になっているので答弁を差し控える」 ●小池晃(共産) ――2017年2月の答弁は改ざん前の文書に基づいて行っていたのか。 「刑事訴追の恐れがあるためお答えできない」 ――答えられないのはおかしい。都合の悪いことは答えないということか。 「いつ文書が書き換えられたか、時期に関わることは答えられない」 ――文書に安倍昭恵の名前があるのを見た時、どう受け止めたか。 「いつ見たかという問題に関わるため、答えられない」 ●浅田均(維新) ――2017年2月15日の衆院財金委で初めて森友問題が国会で取り上げられた。この質問通告は前日に受けて答弁調整したのか。 「覚えていない」 ――会計検査院の検査にはどういう文書を提出したのか。 「窓口は総務課だったと思う」 ●森裕子(自由) ――安倍昭恵の関与がなかったと断言できる根拠は何か。 「森友との貸し付け、売買契約とも不動産鑑定にかけて、法令にのっとって適正に行った」 ――谷査恵子と室長との具体的な会話について承知していないという証言は間違いないか。 「現場にいたわけではないので承知していない」 ――具体的なやりとりを確認しないで、なぜ安倍昭恵が関わっていないと断言できるのか。 「室長からの報告に安倍昭恵の話はなかった」 ――官邸の今井と森友問題で話をしたことはないか。 「国会答弁中は、官邸との調整は私どもの方は課長クラスだと思います」 ――今井秘書官と話したことがあるのかと聞いている。 「この森友問題について話したことはございません」 ●福山哲郎(立憲) ――法令にのっとって適正に契約したのなら、なぜ改ざんする必要があったのか。 「告発されている立場なので答えられない」 ――理財局の1人として改ざんに関わったのか。 「捜査の対象になっているため差し控える」 ――改ざんの経緯については一切答えないのに、安倍晋三や官邸の関与は全く否定する。これは経緯ではないのか? 「指示はなかったので、そう申し上げている」 ●薬師寺道代(無所属) ――虚偽の答弁をしたことはあるか。 「刑事訴追の恐れがあるため答えられない」 ――改ざんや抜き取りは恒常的に行われているのか。 「基本的には真面目に文書を作っていると信じている」 |